飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「そういやそろそろ腹も減ってきたな、千夏の反応が可愛すぎてつい夢中になってしまった」
恥ずかしげもなくそんな事を言えるってどうなの? 櫂さんはこれだけ素敵な男性なんだし、こんな言葉も女性に言いなれてるのかもしれない。
そう考えると何故か分からないけれど嫌な気分になる、そんな私の頭を櫂さんは優しく撫でてくれるけど……
「そんな子ども扱いしないでもらえませんか? 私は貴方の娘ではなく妻なので」
確かに三十代の櫂さんに比べれば引き籠りだった私は子供っぽいのかもしれないけれど、それでもそんな私を妻に迎えるといったのは彼の方なのだ。
契約結婚とはいえ、夫である櫂さんだけには大人の女としての対応をされたくて。
「ああ、そうなんだ? 千夏の方からそう言ってくれるんなら、俺は遠慮なくお前を妻として扱わせてもらおうかな。覚悟……しておけよ?」
ニッと口角を上げた櫂さんを見て、今の言葉は失敗だったかもしれないと後悔し始めた。色んなことに疎い私は、年上御曹司の言葉一つに簡単に振り回されてしまってる。
「へ、変な事したりしたら許しませんからね! 私だってそれなりに、その……」
何もあるわけない、ずっと部屋に籠ってばかりの生活を送ってきたのだから。実母と二人暮らしていた時に習わされた空手だって、もう綺麗さっぱり忘れてしまってる。
「はいはい、分かったから飯でも作ろうな? ふっ、くくくっ……」
櫂さんはそう言って私の手を握ってキッチンへと向かうけど聞こえてくる彼の笑い声に、私は見えないように頬を膨らませるのだった。