飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
一口、また一口とスプーンを口に運ぶ。どうしよう、こんなに美味しくては手が止まらなくなりそう。
二階堂の屋敷で働く料理人のオムライスとは全然違う、ふんわり優しく胸が温かくなるような……少し懐かしい味。
「卵がふわふわとろとろしててチキンライスをまろやかにしているみたい! しかもデミグラスソースと食べると濃いソースがオムライスを深みのある味にしてくれるし、ホワイトソースは濃厚なチーズの味がして一口食べるたび優しい気持ちになるの!」
スプーンを手に持ったまま力説してしまった私、櫂さんはそんな私のことをポカンとした表情で見ている。
……やってしまった。一緒に暮らして最初くらいは大人しい妻でいようと思っていたのに、彼の作るオムライスがあまりに美味しくて興奮して素の自分をさらけ出してしまった。
『品が無い』『この家に相応しくない』
私のこの性格は父や兄姉がひどく嫌っていて、何度も怒られたし時には亡くなった母まで馬鹿にされた。それからは言いたいことは我慢して、なるべく余計な事を言わないようにしてきたのに……
さっきの私を見た櫂さんが、この結婚をやめると言い出したらどうしよう? この結婚には大切な繋がりや二階堂と新河、お互いのためになる様々な契約なんかも含んでいる。
今すぐに二階堂に帰されては両親や兄姉から何を言われるか、戸惑い不安な瞳を櫂さんに向けた。すると……
「くくっ、そんなに美味かったのか? 俺の特製オムライス」
「……え? えっと、櫂さんは怒ってないんですか?」