【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング
さり気なく、ネイルを美しく施した指でドリンクのメニュー表に目を落とす。
30代で子供を一人産んでいるとは思えない程美しい人だ。 大人の女性っていうのだろうか。
こういう場では男性の方がエスコートするのが当たり前なのかもしれないが、俺にとっては場違いな場所であるのは間違いない。
ワインソムリエだという男性に注文をしている弓香さんを見て、この場所が自分に場違いであってももしかしたらレナには当たり前の世界なのかもしれないと思い始めた。
レナの父親が社長を務めるチェリーチョコレートカンパニーは、阿久津フーズファクトリーに負けず劣らずの一流企業だ。 レナと付き合っていく上で将来の事を考えるとどうなのだろう。
レナには、俺より相応しい相手がいるのではないだろうか。
ナイフやフォークを出されても、マナーはさっぱり分からなかった。
弓香さんは「気にする事はない。美味しい物は多少マナー違反でも自分の好きなように美味しく食べるべきだわ」と言ってくれた。
驚く程高級な食材で、普段行く居酒屋とは比べ物にならない程美味しい料理ばかりだった。
「うん、美味しい」
「そう気に入ってもらえて嬉しいわ。 この白ワインも注文した料理にすごく合うの」