【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング

手を差し出すと、レナの母親はお礼を言って俺の手を取った。

花のように笑う人だな。 そういえばルナちゃんも同じような笑顔をしていた。  …やっぱり俺、レナの家族好きだなあ。

真子さんと顔を見合わせて笑い合うと、 その間不機嫌そうな顔をした桜栄社長がぬっと顔を出した。

「……何を真子さんの手を握っておる……」

「わ!!!」

「君と来たら女性と見れば誰にでも色目を使いおって…! そういう君の軽々しいところがだね!」

「ちょっと、お父さん!」

後ろからレナが小走りでやって来て、俺の腕を強引に引っ張ると桜栄社長からフンッと顔を背けて歩き出した。

桜栄社長はまた顔を真っ赤にして、その姿を真子さんはハラハラとした表情で見守っていた。
…楽しい旅行になるはずが、前途多難。 父娘の間に入った亀裂は中々根深そうではある。

「行こ。 海!」

「ちょ、レナちゃん!」

「お父さんの嫌味を聞いてたらせっかくの美しい紅葉も台無しだわ。 小さい頃に皆で一緒に行ったお勧めのスポットがあるの。
あなたにも見せたいわ」

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