【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング

それからもレナは俺へは上機嫌で話を掛けた。 真子さんにも笑顔を見せていた。 実に楽しそうではあった。

けれども肩を落としとぼとぼと後を付いてくる桜栄社長を気にしているのも俺は知っていた。 どうせならば楽しい旅行にしたかった。

レナにも桜栄社長にも笑っていて欲しかった。 だって二人はこの美しい景色を共有した思い出があるはずだ。 幼い頃、お父さんが大好きで後をくっついて回った記憶があったはずだ。

今はすれ違ってしまっているけれど、やがて気が付くはずだ。 桜栄社長が愛し大切に育ててくれたから、今のレナが居る。 それに気が付いて欲しかった。

箱根の秋化粧は思っているよりずっと美しく、やんわりとしたひと時の休息を得る事が出来た。

お昼に観光をして、夜は桜栄家と古くから付き合いがあるという日本料理屋にやって来た。 海と山の幸で埋め尽くされた豪華なディナーで、ここでも桜栄社長は得意になって昔からこのお店に来ていたのだと自慢げに話している。

俺は桜栄社長の話を聞くのは嫌いじゃなかったけれど、レナの機嫌は悪くなる一方だった。
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