独占欲が止まらない。クールな社長の裏の顔。
ランチミーティングに行くため車に乗り込むと走る深山と河合が見える。
車がちょうど信号で止まったためそのまま目で追ってしまうと2人は凄い勢いで走りながらキッチンカーへ向かうのが見える。

つい今さっき俺を車寄せでしっとりと見送っていた2人がダッシュしている姿に声をあげて笑ってしまった。
2人はカレー屋さんに駆け込んだようだ。

「アッハッハッハ…」
突然声をあげて笑う姿に運転していた中条は驚く。

「どうなさいました?社長。」

「見てくれよ、あそこのキッチンカー。あの2人今さっき俺を送り出したのにもうあそこにいるんだ。さっきなんて2人猛ダッシュしてるのが見えたぞ。」

「あぁ、あの2人は美味しいものの話を良くしてますね。」

「そうなんだな。あんなに必死で走り込むほど美味しいのか。」

「彼女たちは情報通ですからね。私も話していると面白いですよ。」

中条は彼女たちとそんな雑談をしてるのか。
俺は何も知らなかったな。
秘書が何を好きかなんて考えてもみなかったな。

「そういえばこの前3人で行ったお寿司も美味しかったですよ。あの2人が穴場だから、と連れて行ってくれたのですがその時も私は走らされましたよ。安くて美味しいからすぐ満席になるらしく3人で本気で走りました。」

そう言って中条は思い出し笑いしている。
俺は何も知らなかったことに苛立ちを覚えた。
俺だけ仲間はずれじゃないか…
いや、そもそも俺を誘おうなんてきっと思いもしないよな。
はぁ…とため息が漏れる。
そのため息を聞き中条が、「社長も行きたいのですか?」なんて聞いてくる。そこで素直に「行きたい」とは言えないのが歯痒い。「ま、そのうち」なんてクールなフリをまたしてしまった。
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