愛の距離がハカレナイ
私は大きな声で反論する。

「もちろん、信じたわけじゃない。でも…、でもな。」

祐介の両手が私の頬を包む。

「無性に阿里の顔が見たくなった。それで安心したかった。」

「何も聞かなくていいの?」

「俺は阿里を信じている。それでいいだろう?」

見上げた私の視線を、祐介はそっと逸らした。

「…祐介?」

空を仰いだまま祐介が大きく息を吸った。

「よく聞けよ。阿里。」

「えっ?」

祐介が私をまた強く抱きしめた。

「もう阿里なしではいられない。お前は俺のモノだ、結婚しよう。」

ぶわっとあふれ出した涙が温かい。

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