また君と恋する
「片付け、や」

ですよね。

虹心は普段から片付けが嫌いでしないからな。

どうしたものかと悩んでいると────

「俺が面倒見てようか」

そんな声がした。

扉が開きっぱなしだった入口に、腕を組んで壁にもたれかかる早瀬君。

顔は相変わらず無表情で言葉も淡々として何を考えているか読み取れないけど、その言動自体がみんなの知る早瀬君じゃなくて私が知ってる大好きだった早瀬君だから。

その気遣いを疑う余地はない。

「おにーちゃん、遊んでくれるのー?」

「うん」

「やったー」

早瀬君が虹心を連れて出ていこうとした時、チラッとこちらを見たような気がした。

彼のおかげで片付けはだいぶ捗った。

ただ、お母さんが思い出に浸る時間さえなければ……。
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