花筏に沈む恋とぬいぐるみ



 「今日、花は泊っていくって」
 「え、あ、うん!お邪魔してもいいかな?」
 「それは大歓迎だけど。珍しいね、花ちゃんから泊まりたいって言うなんて」
 「おまえの手料理食べたいんだってよ」
 「そうなの?じゃあ、頑張ろうかなー」


 すっかり機嫌を取り戻した雅は、献立を考えながら足早に店の中へと戻ってしまう。
 花は彼に聞こえないように、凛に問いかけた。自分では、泊まるつもりなどなかったし、そんな話をしていなかったからだ。


 「ねぇ、どうして泊まる事になったの?」
 「いろいろ決めなきゃいけないだろう?あと数日しかないんだ。何とかして終わらせる。計画立てなきゃいけない」
 「うん」
 「あいつが料理中や仕事中、あとは寝てる時が勝負だからな」
 「そうだね」


 一堂に教えてもらった事が本当に成功するかはわからない。
 だが、他の方法もわからない。
 だから、考えついたことをやるしかないのだ。

 凛と花は頷き合い、時間を見つけてはお互いの出来る事をやろうと決めたのだった。



 





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