夜明けの光をあつめながら
例えば日付の話。

私がおばあちゃんに『今日は何日?』って聞くと、おばあちゃんはカレンダーを見ながらだけど、『今日の日付』を答えてくれた。
私を安心させようと気を使ってくれたのか、今の『時間』も答えてくれた。
『何時何分』って。

そのおばあちゃんの答えに、私は安心した。

でもついでに『西暦』を聞いたときは、私は耳を疑った。
だっておばあちゃん、『今から約五十年前の西暦』を言ってくれるんだもん。
『一九七六年の五月六日』ってね・・・・。

あのときは正直言って、何が何だかわからなかった。
お母さんも私同様に、『理解できない顔』を浮かべていたし・・・・・。

それからおばあちゃんの『アルツハイマー病』の進行は、どんどん増して行った。

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