極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

百合香は目をまたたかせて首を捻った。

美羽の言わんとしていることが理解できないのは当然だろう。結婚していれば子どもができるのは自然な流れ。それなのに夫に話せず、涙を零すほどに悩んでいるなんて思いもしないはずだ。

このまま百合香に真実を打ち明けずにいたら相談に乗ってもらえない。幼い子どもと過ごす貴重な時間を美羽のために割いてくれているのだ。正直に話す以外にないだろう。


「じつは離婚を前提とした契約結婚なんです」


百合香の表情が険しくなった。眉根を寄せ、首を少し捻る。


「ちょっとよくわからないんだけど」


訝しがる百合香に、美羽は兄との過去から結婚に至った経緯を話しはじめた。

相手が翔だと知ったときには落ちてしまいそうなほど目を見開き、しばらく呆然とするほど。人事部のマネジャーを務める百合香の夫だけはふたりの結婚を知っていると告げたときには、「ええっ!?」と素っ頓狂な声を上げた。

いつも冷静で凛とした雰囲気の百合香が、椅子から転げ落ちそうなくらいの驚きぶりだ。
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