極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました
「あ、あぁうん、今はもう行ってないかな」
「お兄さんのために急いで彼氏を作らなきゃって言ってたのに大丈夫なの? もしかして彼氏ができた?」
「で、できてないよ」
飲みかけたお茶を吹きそうになった。
婚活パーティーからたったの二カ月。彼氏を飛び越してすでに夫がいるとは、萌子も思いもしないだろう。
「本当に? 今、めちゃくちゃ焦らなかった?」
「ううん、ほんとに彼氏なんてできてないから」
美羽が慌てて答えていたら、社員食堂内がにわかにざわめく。それがさざ波のように広がり、美羽たちのほうにまで到達した。
周りを見回して、その原因にすぐ気づく。
「ここ、空いてる?」
バンコクから帰国した翔だったのだ。ランチトレーを片手で持ったまま美羽の隣の席を指差した。
四本のゴールドラインが入った制服姿の彼を見て、意図せず鼓動が飛び跳ねる。
見慣れているはずのスタイルを見て動揺するのは、その格好のせいではない。翔本人が美羽の心を騒がせるのだ。それはほかでもなく、あの夜の過ちのせいである。