極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

「本郷さん!」


今にも歌いだしそうなほど萌子の声が弾んだ。
うれしさが滲み出た彼女の前で、美羽は目線をさっとオムライスに落とした。

(どうして私のそばに来るの……!)

ふたりの結婚は特級秘密。なるべく一緒にいないほうがいい。

(……というか一緒にいたくない。ううん、いられない!)

空席ならほかにもあるし、これまでこうしてわざわざ近づくことなんてなかったのに。そのうえ翔は普段の様子と変わらず、まるで何事もなかったかのよう。

美羽は真正面を向いたまま反応できずにいたが、萌子が「本郷さんならもちろん大歓迎ですよ」とすかさず笑顔で応えた。

翔が美羽の隣に腰を下ろした瞬間、彼の右隣に座る女性が小さく黄色い歓声を上げる。「どうしよう!」と口に手をあて、向かいの女性と色めき立った。

そうなるのも仕方がない。彼はほかの航空会社の間でも有名人なだ。それは最年少機長という肩書はもちろん、類まれなる容姿のためである。

そんな彼と結婚したのが美羽だと知られたら、大騒ぎになるのは目に見えている。それこそ空港中の全女性を敵に回すだろう。
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