涙の涸れる日
 お寿司で夕食を済ませた。

「美味しかった」

「やっぱり和食は良いな」

「そういえば、佑真、苦手な物、食べられない物ってある?」

「うーん。特にないかな」

「本当に? お母さん、料理上手だよね?」

「専業主婦だからね。料理は好きみたいだよ」

「佑真の好きな物、聞いておけば良かったかな」

「紗耶が作る物なら何でも美味しく食べられるって」

「その言葉、忘れないでよ」

「ははっ。忘れないよ。さぁ、じゃあシャワー浴びて寝ようか?」

「お先にどうぞ」

「紗耶も一緒にだよ」

「えっ? 私は後で良いから……」

「駄目だよ。仕事休んだ分、明日から多分遅くなると思うから。きょうは一緒だ」

「それって決定事項なの?」

「もちろん。ほら行くよ」

「着替えを持って来なきゃ……」
ソファーから立ち上がる。

「そう言って逃げる気だろう?」
そのまま抱きしめられる……。
甘いキスが落ちて来る……。

「着替えは要らない」

「でも……」

「紗耶。諦めろ」
バスルームに連れて行かれる……。

 そのまま全て脱がされる……。
 佑真も……。

 ボディソープで丁寧に洗ってくれる……。
 シャンプーもしてくれた……。

 佑真は自分はサッサと洗って……。
 シャワーのお湯で泡が流れて行く……。

「紗耶。綺麗だよ」
裸のまま、キスされてる……。
逞しい腕で抱きしめられてる……。

 バスタオルで体に残る水分を取って……。
 ベッドに連れて行かれた……。 

「髪、乾かさなきゃな」

「後で良い……」

「紗耶……愛してる」

 そのまま佑真に抱かれた……。

 幸せだった。
 佑真に愛される、この体が愛おしかった……。


< 43 / 152 >

この作品をシェア

pagetop