涙の涸れる日

調査

 本多不動産の副社長室。

 凌太と話しているのは元警察官で今は探偵をしている高校時代からの親友の矢田。

「で、どうだった?」

「紗耶ちゃんの旦那、黒だな」

「女がいるって事か?」

「旦那の会社の化粧品販売をしてる〇〇デパートの田所由布子って主任だ」

「何歳だ?」

「三十歳。大学の先輩になるらしい。その頃は何もなかったみたいだけどな」

「いつからだ?」

「五月の連休の後、頻繁に女のアパートに通ってる。でも年末の忘年会あたりからじゃないかな」

「そうか……」

「紗耶ちゃんはどうしてる?」

「俺のマンションに居るよ」

「両親には?」

「まだ言ってない」

「大学時代はけっこう遊んでたらしいから、ボロが出たってとこかな」

「だから俺はあんな奴と結婚するのは反対だったんだよ」

「どうする気だ?」

「紗耶は潔癖症だし、許せるとは思えない。と言うか俺が許さない」

「だろうな。加藤が弁護士してるだろ」

「あぁ、そのつもりだ」

「しかし何で浮気するかね。あの紗耶ちゃんと結婚してるってのに……。紗耶ちゃんが離婚したら、俺、立候補するわ」

「バカ。お前なんかに渡すかよ」

「溺愛ぶりは健在か。もう少し調査続けるか?」

「あぁ、頼む。しっかりした証拠が欲しい」

「了解。じゃあな」

「あぁ、ありがとな」


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