まるごと愛させて
アランからのLINEに返信はせずに
携帯を閉じてふぅーと息を吐いた。

大丈夫。大丈夫。
ちゃんと別れられる。

気分を落ち着けて、席に戻った。

「誰から??」
「和樹には関係ないよ。」

そういえば、和樹はいつも私にくる連絡を
気にしていた。
自分が浮気してるから、余計に気になってたのかも。

「関係なくないよ、付き合ってるだから。」
「けど、もう別れるよ。それに和樹の知らない人だから。」

なるべく表情を崩さずにそう言った。

「…男??」

こう言う勘は鋭いんだよね。
けど、もう別れるし。
いいよね、最後に意地悪したって。

「そうだよ。昨日知り合った人。」
「なんっで!!俺がいるのに!」

私がアランと連絡取っている事を知ると、
少し感情的になってきてしまった。

「和樹が言える立場じゃないでしょ。とりあえず出ようか、外で話そ。」

これ以上、和樹が感情的になったら他のお客さんに迷惑がかかる。

先に立ちか上がって、伝票を持って会計をした。
まだ座り込んで私を睨んでいる和樹に声をかける。

「行くよ。」

先にカフェを出ると、大人しく私の後をついて来た。

「おい、唯!どこに行くんだよ!!」

パシっと私の腕を掴む。

「駅だよ。」
「それより、どう言う事だよ!お前も浮気してんじゃねーかよ。」

…浮気ね。 


「…そうだね、和樹と付き合ってはじめて、他の男の人と連絡先交換したね。」

和樹の腕を振り払って駅まで再び歩きはじめる。

「好きなのか、そいつのこと。だから別れるって言ってんのか!!」

横に並びながら詰め寄ってくる。
きっと、あれだ。
典型的な俺は良くてもお前はダメタイプ。

「関係ないよ。昨日会ったばっかなのに好きとかじゃないから。」
「じゃあ、なんで連絡先交換してんだよ!!」

興奮してきてるからなのか、
耳元で大きい声で話される。

「いい人だったからよ!助けて貰って、お礼もしたかったから!」
「そんなの言い訳だろ!!」

なにも返さずに駅へと真っ直ぐ進んでいると

ガッと強く引かれてカバンを奪われた。

「ちょっと何!!返してよ!」
「うるっさいな。人の女に手出しやがって!文句言うんだよ!」
「やめてよ!関係ないでしょ!他の人巻き込まないでよ!!」

カバンを取り替えそうとするけど、
やっぱり男の人の力には敵わなくて、
携帯を取られてしまった。

和樹はいとも簡単に携帯のロックを解除すると
誰かに電話をかけはじめた。

その'誰か'なのかは容易に想像がつく。

「ちょっと!ほんとに辞めてよ!彼まだ仕事中なの!!」

「うるせっ!ちょっと大人しくしてろ!」

ーパシっ。
空いてる手でパシっと頬を叩かれた。

あー、もう最悪。
それなりに痛いし。

でも仕事中だし電話出ないよね。
そしたら和樹も諦めるよね。


「…あっ!もしもし??俺唯の彼氏なんすけど、」

えっ!!出たの??

「ちょっともうほんとに辞めてってば!返してよ!」
携帯に必死に手を伸ばしても携帯が戻ってくることはない。

「人の彼女になに手出してんですか?」
「出されてない!!もうほんと辞めて!」
「あ??別になんもねーよ。そんなに気になるなら今から来れば??八条駅に居るから。」

私の声も聞かずにピッと電話を切って私の方へ携帯を投げて来た。

「そいつ、今から来るってよ。」

最悪だ!!
昨日も迷惑掛けといてこんなゴタゴタに巻き込むなんて!

「やめてよ、ホントに。仕事中なんだから来れる訳ないじゃん。」

携帯を再び開いて、仕事の邪魔にならないようにLINEで簡単な状況を説明して迷惑かけてごめんない。と謝罪の文章を送った。
< 7 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop