男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
グラスをトンッとテーブルに戻しながら、ふと、向かいに座ったサイラス様が表情をなくして宙を仰ぎ見ていることに気づく。
「……あの? サイラス様、どうかなさいましたか?」
サイラス様は私の呼びかけに、軋むような動きで首を巡らせる。
「いや、なんでもない。この後の政務が押している。すまんが先に行く」
私と目が合うと笑みの形を作って答え、まるで逃げるように席を立った。
「は、はい。気をつけていってらっしゃいませ」
サイラス様は扉の前で見送る私を振り返ることもせず、速足で政務エリアの方向に歩いていった。
急にどうしたのかしら? ……いえ。どうしたもこうしたも、政務がよほど取り込んでいるんだわ。
サイラス様はあんなに忙しく国民のために身を粉にして働いている。そして私は、そんな彼に破格の待遇で従者に取り立ててもらっているのだ。
保養所に身を寄せている弟のセリウスとは、二週間に一度は手紙をやり取りしている。そのセリウスの体調が、この二カ月で劇的に改善していた。
「……あの? サイラス様、どうかなさいましたか?」
サイラス様は私の呼びかけに、軋むような動きで首を巡らせる。
「いや、なんでもない。この後の政務が押している。すまんが先に行く」
私と目が合うと笑みの形を作って答え、まるで逃げるように席を立った。
「は、はい。気をつけていってらっしゃいませ」
サイラス様は扉の前で見送る私を振り返ることもせず、速足で政務エリアの方向に歩いていった。
急にどうしたのかしら? ……いえ。どうしたもこうしたも、政務がよほど取り込んでいるんだわ。
サイラス様はあんなに忙しく国民のために身を粉にして働いている。そして私は、そんな彼に破格の待遇で従者に取り立ててもらっているのだ。
保養所に身を寄せている弟のセリウスとは、二週間に一度は手紙をやり取りしている。そのセリウスの体調が、この二カ月で劇的に改善していた。