男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
「これは後宮に確認にいくしかないわね」
 私は報告書をあげてきた後宮統括官に不備を尋ねるべく席を立った。
「っ……!」
 その動作を切欠に、ずっと騙し騙しにしていた吐き気が喉もとまで込み上げる。片方の腕を机に突き、もう片方の手を口もとに宛がって、嘔吐きそうになるのを堪えた。
 政務に向かうサイラス様を見送りながら、しっかりしなくちゃと気を引き締め直した。だけど、そんな私の意気込みとは裏腹に、体調は日に日に悪くなっていた。
 寝不足や疲れによるものと思いつつ、連日の不調に体力的な消耗は激しかった。
 私の体はいったい、どうしてしまったの? 従者の仕事も、契約の行為も、きちんと熟さなくちゃいけないのに……っ! このジレンマが、体ばかりでなく私の心を追い込んでいた。マイナスの思考ばかりが渦のように押し寄せて、健全な心を蝕ばもうと牙を剥いてくる。
 今もそれらに呑み込まれそうになる直前でハッと思い直し、緩く首を振って背筋を正す。折よく、吐き気の波も引いてきていた。
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