男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 その時、既に目と鼻の先まで迫っていた宮廷の玄関から、こちらに向かって駆けてくる複数の足音が耳を打つ。
「失礼いたします、サイラス陛下。この者らが陛下に対し無礼を働いたようにお見受けいたします。身柄を拘束いたしますか?」
 駆け寄ってきた近衛兵がサイラス様に問う。中庭で繰り広げられていた一連の出来事は、全て宮廷の玄関に控えていた近衛兵たちに見られていたらしい。会話の詳細までは聞こえていなくとも、彼らはきっとこちらの不穏な気配をつぶさに感じ取っていただろう。
「なんでもない。プロスペールの子らと彼の生前の話に花を咲かせていただけだ」
「し、しかし……」
 近衛兵らの先頭に立ったリーダー格と思しき兵士は納得のいかない様子で、サイラス様と地面に膝を突いたままの私とを交互に見ていた。
「俺がなんでもないと言っている。二度言わせるな。それよりこれを至急宮廷医のもとに運び、手当てをさせよ」
 サイラス様はそれ以上の言及を許さずピシャリと言い切り、マントで包んだ子猫を差し出した。
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