男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
「私は武人として、人として、ダボット様を尊敬します。あなたこそ本当の強さの意味を知っている。少なくともあなたの粘り強い交渉があってヘッセラボス共和国との友好的な今があります。ダボット様が我が国の平和の礎を築いたことは瞭然で、胸を張って誇るべき功績です」
 私の言葉が余程予想外だったのか、ダボット様は一瞬呆気に取られたような表情を浮かべ、ほどなくして照れくさそうに笑んで口を引き結んだ。
 私は背筋を正すと、順番にふたりを見つめた。
「ゼネダ様、ダボット様。あなた方こそ、サイラス様の治世を支える柱。おふたりにはどうか、これからも末永くサイラス様の……ラインフェルト帝国のよりよい未来のためにお力添えをお願いいたします」
 心のまま真っ直ぐに思いを言葉にしたら、身代わりの事実を伝えても動じなかったゼネダ様が目を瞠った。ダボット様は逆に、感じ入ったように目を細くした。
 次の瞬間、突然ふたりの姿が目線の高さから消える。……いいや、消えたというのは正しくない。
 ふたりは揃って膝を折り、最高位の礼の形を取っていた。
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