男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 だから私は、皇太后様と直接会話を交わしたことはもとより顔を合わせたこともなく、これが文字通り初対面だったのだ。ベールで尊顔は拝せないが、静かな雰囲気を纏う楚々とした女性に感じた。ぜひ一度きちんと話をしてみたいと思った。
 ……神事が終わったら、一番に挨拶をさせていただこう。
 義理の母となった方に挨拶をしたい思いが募ったけれど、今はグッと堪えて慎んだ。
 そんな各々の思いを余所に、ひとたび進行役の神官が神事開催を宣言すれば、神事はつつがなく進んでいく。
 そうして神事の終盤、私は事前に教えられた通り神官らによって祝詞が朗々と読み上げられる中、列を外れてゆっくりと前に進み出る。
 大きいお腹で屈む動作は少々骨が折れるのだが、これも慣例だと言われてしまえば則するしかない。祭壇の前に辿り着くと、私は重たいお腹を支えながら手順通りに片膝を突いて頭を垂れる。
 直後に、揃いの真白いベールを被った数人の女性神官らが長衣の裾を翻しながら出てきて、頭を低くした私の周囲でくるくると舞い始める。
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