男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 神事への緊張か、あるいはセリウスとの久しぶりの対面で興奮したからか、禊のあたりからなんとなく腹部の張り強くなっているような気がしていた。
 とはいえ、お腹が張ることはこれまでにも度々あり、その度にドクトール様に相談して特段問題はないとの答えをもらっていた。
 ……最近は公務も随分減らしてもらっていたし、きっと長時間の神事で少し疲れがでたのだ。この舞の最後に、神官から額に祝福を授かったら神事は終わる。後少しの我慢だ。
 内心でホゥッとひと息ついて、舞の状況を窺おうと、さり気なく目線だけを上げた。
「セリーヌ――っ!!」
 視界に舞の輪を外れ私に向かって駆けてくる神官の姿を捉えたのと、空を裂くようなサイラス様の叫び声を聞いたのは同時だった。
 半ば恐慌状態でカッと見開いたままの目に、はためくベールから覗くサリー様の悪鬼の如き形相と、その右手に握られた鈍色の光が映る。大きく振りかぶった右腕が、今まさに振り下ろされようとしていた。
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