男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
「はい、約束します。それからサイラス様、私だって思いは同じです。一生涯、私もあなたへの愛を伝えていくつもりです」
「セリーヌ……」
 見つめ合った目と目で柔らかに微笑み合い、ひと呼吸の間を置いて立ち上がり扉に向かう。
「皇太后をここへ」
 扉前で控える近衛に端的に指示した。
 それから幾らもせず、近衛は母を伴って戻ってきた。母の衣服は昨夕の神事の時と同じだった。短時間での訪れとその装いを見れば、母が神事の後もずっと隣室の何処かで無事の出産をひとり祈り続けていたことが知れた。
「セリーヌ皇妃、よくぞご無事で……! 早い出産で、心配しておりました。本当に、よかった……っ! 皇子も健康とのことで、こちらもなんて喜ばしいのでしょう」
 母は真っ直ぐにセリーヌの枕辺に向かうと、開口一番にセリーヌの無事を喜び、声を震わせた。
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