男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 なっ!? 視界に飛び込んだのは、妄りにはだけた豊満な女体にのった魔物の顔面。反射的に叫びそうになったのを、すんでのところでのみ込んだ。
「俺に触れるな!! ……其方、何用でここにいる?」
 乱暴に女の手を振り払い、地を這う声音で問う。俺はこの魔物……いや、魔物の顔をした女に見覚えがあった。
 この女は、樽のような体躯をした財務長官が折に触れて宮廷に伴い、しきりに俺への目通りを画策していた奴自慢の末娘だ。正体に思い至れば、聞かずとも父子の意図が知れた。
 女はうっとりと目を細め、俺が振り払って遠ざけた腕を再び伸ばしながら、禍々しいほど真っ赤に塗られた唇を開く。
「まぁ、それを問うのは野暮というものでございます。それよりも陛下、随分とうなされておりましたわ。今宵はわたくしが悪しき夢を追い払い、極上の夢を見せてさしあ……ァ、グァッ!!」
 女の指先が触れる直前、俺は女を足蹴にした。女は寝台上から吹き飛び、床に転がった。
「ぁ、ぁあっ……ひ、酷い。なんというご無体を……っ」
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