男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 ……これは、本当にセリウスなのか?
 お世辞にも上質とは言い難い上着の袖から覗く手指は折れてしまいそうに華奢だ。折った腰も俺の両手で回ってしまいそうに細い。腕や足も同様の有様で、まったくと言っていいほど体に厚みがないのが着衣越しにも瞭然だった。
 さらに従者として宮廷に上がるのに長髪というのも少々不可解だった。ひと昔前であれば珍しくもなかったが、昨今では男の長髪は軟派と見る風潮になってきておりあまり歓迎されない。
 とはいえ、髪型や装いには好みがあり、体格にしてもセリウスは成長期のただ中にある十四歳。四年前の当時も小柄でひょろりとした体をしていたし、病弱で身体を鍛える機会に恵まれなかったと考えれば軟弱なことも理解ができた。……そう、普通ならそれで十分に納得ができるだろう。
 しかし俺は、ひとたび生じた違和感がどうしても消せなかった。この違和感の正体はなんなのか。
 そうして突き詰めて考えた先に、ひとつの可能性に行き着いていた。
 ……これは、セリウスの名を騙ったセリーヌではないのか?
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