男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 ……体を、差し出す? 酷薄に歪んだ笑みで告げられた『選択肢』は、すぐにはまともな意味を結ばず頭の中をぐるぐると回っていた。
「わからんか?」
 サイラス様は目を見開いたまま固まる私を見下ろして、ふわりと口もとを綻ばせる。
 ……不思議とその笑みは作り物ではなく、彼の感情がそのまま表れたもののように思えた。
「あっ!」
 彼の手が首もとに伸びてきて、襟のリボンの端を引く。小気味いい衣擦れの音をたてながら、リボンはハラリと解ける。
「やっ!?」
 すると、大きめに開いた襟ぐりから彼の手が忍び入り、我が物顔で今はさらしで押さえ込まれたふたつの膨らみに触れる。さらし越しとは言え、物心ついてからは誰の手にも触れられたことのない部分に手を這わされる衝撃は大きかった。
 猛烈な違和感に衝き動かされ、考えるより先に手が伸びていた。伸し掛かる彼の厚い胸をドンッと突いて、その隙の逃げようと身を捩る。ところが逞しい体は予想に反し、悠々と私を押さえ込んだまま僅かにだって揺らがない。
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