男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
「承知いたしました」
 サイラス様は私に今後の流れを端的に告げ、居ずまいを正して寝台を下りる。掴んだマントを肩に羽織りながら大股で扉に向かい、自ら扉を開け放つ。
「……い、いってらっしゃいませ!」
 政務に向かう主の姿にハッとして、私は転がるように寝台を下りると、その勢いのまま扉に駆けていき見送りの声を掛ける。
 サイラス様は扉に片手をかけた体勢で振り返り、私を一瞥して眉根を寄せた。
「馬鹿者。俺の見送りよりも前に、その恰好をなんとかせんか」
「すみません!」
 指摘されて、シャツのリボンが解け胸もとを寛げたままの恰好に思い至って青くなった。
 サイラス様が入室時にたまたま人払いをしていたからよかったようなものの、一歩間違えれば私のあられもない恰好が近衛兵らの目に晒されてしまっていた。
「まったく。手がかかるやつだ」
 呟きの直後、シャツの前を握り締めて俯く私の肩にパサリとなにかが落ちてくる。
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