男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
……え? 突然肩にかかった軽やかな感触に驚いて見上げた視界に、狭まった扉の隙間に消えていくサイラス様のうしろ姿が映る。その肩から、彼の歩みに合わせて雅に翻っていたマントがなくなっていた。
私は自分の肩にかかる柔らかな温もりの正体に気づき、慌てて声を掛けようと口を開く。しかし私が言葉を発するより一瞬早く、重厚な扉は完全に閉ざされた。
「……行ってしまったわ」
ここまでの嵐のように目まぐるしい出来事に脳内の処理が追いつかず、私はサイラス様の背中が消えた重厚な扉を見つめて立ち尽くした。
……いけない! しっかりしなくちゃ!
けれど呆けていたのは一瞬で、すぐに自分を叱咤して背筋を正す。シャツのリボンを手早く結び、着衣の乱れを整える。借り物のマントはそっと外し、皺が寄らぬよう丁寧に衣桁にかけた。
気を引き締め直して重厚な扉を押し開けると、サイラス様に指示された侍従長官室に向かった。
「おい、あいつさっきの……!」
サイラス様の部屋を出て回廊を進んでいる途中で、物問いたげな幾つもの視線とぶつかった。
私は自分の肩にかかる柔らかな温もりの正体に気づき、慌てて声を掛けようと口を開く。しかし私が言葉を発するより一瞬早く、重厚な扉は完全に閉ざされた。
「……行ってしまったわ」
ここまでの嵐のように目まぐるしい出来事に脳内の処理が追いつかず、私はサイラス様の背中が消えた重厚な扉を見つめて立ち尽くした。
……いけない! しっかりしなくちゃ!
けれど呆けていたのは一瞬で、すぐに自分を叱咤して背筋を正す。シャツのリボンを手早く結び、着衣の乱れを整える。借り物のマントはそっと外し、皺が寄らぬよう丁寧に衣桁にかけた。
気を引き締め直して重厚な扉を押し開けると、サイラス様に指示された侍従長官室に向かった。
「おい、あいつさっきの……!」
サイラス様の部屋を出て回廊を進んでいる途中で、物問いたげな幾つもの視線とぶつかった。