男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 彼は初対面の時からとても親切だった。二メートルを超す筋骨隆々の体躯をした彼は、一見すれば恐ろしげにも思える。しかし爽やかな茶色の短髪をして、日に焼けた肌に白い歯を光らせて豪快な笑みを浮かべるダボット様は見るからに気のいい兄貴分といった感じで、朗らかな人柄が透けてみえた。
 そして今も、彼が私を心配してくれているのがありありと伝わってくる。
「謁見室での一件がすべてです。私が浅はかにも長髪のままやって来てしまいましたので、陛下は従者としての私の気構えを不安視されたのでしょう。けれどあの後、気概と覚悟を持ってお仕えする旨をお伝えし、納得していただけました」
 私の弁に耳を傾けながらも、ダボット様はどこか釈然としない様子だった。
「早く切っておけばよかったのに、本当にうっかりしていました。昨今の風潮では長髪があまり歓迎されないことは知っていたのに。とはいえ、サイラス様がああも長髪を厭われておられるとは思いもよりませんでした」
 私はわざと軽い調子で続けた。
< 65 / 220 >

この作品をシェア

pagetop