男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
「いいや、なんらおかしいことはない。お前は俺の従者をよく務め上げている」
 彼女の才覚に感服し、丁寧に敬って尊重したい、そんな思いを抱いたのは真実。しかし、彼女への愛しい想いはそれらを凌駕する情火の炎となって俺を衝き動かす。
「……しかし、お前の務めはもうひとつあったはず」
 耳朶を掠める近さで吐息と共に囁けば、彼女の肩がビクリと跳ね、首もとまでが一瞬で真っ赤に染まる。その様子はどこまでも初々しく、俺の劣情を容赦なく刺激する。
 彼女への溢れる想いを抑えることは、もう出来なかった。
「セリーヌよ、俺の望みがわかるな?」
 セリーヌは火照った頬を隠すようにコクンと頷いた。
「いい子だ」
「あっ!」
 額にひとつキスを落とし、掬うように彼女の体を横抱きにすると、逸る思いのまま間続きの寝室へと踏み出した――。

***

「セリーヌよ、俺の望みがわかるな?」
 耳にした瞬間は、全身に緊張が走り抜けた。
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