男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 私の顔が不安げに見えたのなら、それは私自身の感情によるところ。彼が無体なことをするとは微塵も思っていなかったが、自分でも戸惑う胸の内を上手く伝えられる自信がなかった。結局、私は曖昧に微笑んで頷くことで答えた。
 直後、サイラス様の腕が伸びてくる。行為を先に進めるのだと理解した私は、彼の邪魔にならないように両手をシーツに落とし、意識して体から力を抜いた。
 ところが、サイラス様の手がトンッと置かれたのは私の頭で、彼はそのまま大切なものを慈しむような手つきで何度となく撫でる。
「んっ」
 こそばゆく、くすぐったい刺激に、胸がじんわりと温かな熱を持つ。
 剣の鍛錬ですっかり皮膚が厚くなったサイラス様の手は、節くれだって硬い。なのに、彼の手が伝える感触は、何故か包み込みように柔らかい。
 こうやってサイラス様に触れられていると、不思議な安心感も覚える。 
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