男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 私は育児に関心を示さぬ母に代わり、私と同じ色をしたセリウスの髪を幼少期から幾度となく撫でてきた。しかし、私自身がこんなふうに頭を撫でられたことはほんの小さな頃の記憶にだってなかった。
 初めて人肌の温かさに触れて、涙が出そうになった。
 彼はその後も私の心と体を解きほぐすように、長い時間をかけて頭だけでなく頬や肩、背中を撫でながら、そっと触れるだけの優しいキスの雨を降らせる。
 それは最初の日に彼が告げた『俺の欲望を受け入れろ』という言葉とは対極の丁寧さ。その後も彼は直接の交接には遠回りと思える柔らかで優しい愛撫を惜しまずに繰り返した。
 ついに彼の手が私の襟もとに伸び、長い指で器用にボタンをボタンホールにくぐらせる。ひとつ、またひとつとボタンが外されてゆき、最後のひとつがボタンホールをくぐれば、シャツは前からハラリとはだける。大きな手が背中の下に入り込んで支え、上半身を僅かに浮かせる。その隙に、反対の手が折り込んださらしの一端を摘まみ、シュルシュルと解いていく。
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