幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
(使えないスキルしかもってなかったからって何? 私は、私)
何もできず、ひとり部屋の中でひたすらパンを硬化させ続けた日々のことを思い出す。あの頃にはもう帰りたくないのだ。
「リリンダ、これ、使って!」
リーゼが放り投げた大根――杭に加工済み――は、地面に転がり落ちた。リリンダがそれに飛びつく。
「グルルァッ!」
意味のない言葉を口から発しながら、吸血鬼はリーゼを掴む。胸倉を掴んで持ち上げられ、リーゼの足が宙に浮いた。
「――えいっ!」
突き刺そうとした包丁は、リーゼの力では胸を貫くにはいたらなかった。けれど、吸血鬼は、刃物の存在にぎょっとしたようだ。
「――覚悟!」
その吸血鬼に向かって、横から襲い掛かったのはリリンダだった。彼女が力任せに押し込んだ杭は、吸血鬼の胸を貫く。大根のくせに、ずいぶんと硬い。
「今のうち! 逃げる――あれ」
リーゼを抱えて逃げ出そうとしたリリンダだったけれど、目の前で吸血鬼がしゅるしゅると音を立てて霧散していくのを見て目を瞬かせた。
(杭を刺して、首を落とさないとだめなんじゃなかったっけ……?)
何もできず、ひとり部屋の中でひたすらパンを硬化させ続けた日々のことを思い出す。あの頃にはもう帰りたくないのだ。
「リリンダ、これ、使って!」
リーゼが放り投げた大根――杭に加工済み――は、地面に転がり落ちた。リリンダがそれに飛びつく。
「グルルァッ!」
意味のない言葉を口から発しながら、吸血鬼はリーゼを掴む。胸倉を掴んで持ち上げられ、リーゼの足が宙に浮いた。
「――えいっ!」
突き刺そうとした包丁は、リーゼの力では胸を貫くにはいたらなかった。けれど、吸血鬼は、刃物の存在にぎょっとしたようだ。
「――覚悟!」
その吸血鬼に向かって、横から襲い掛かったのはリリンダだった。彼女が力任せに押し込んだ杭は、吸血鬼の胸を貫く。大根のくせに、ずいぶんと硬い。
「今のうち! 逃げる――あれ」
リーゼを抱えて逃げ出そうとしたリリンダだったけれど、目の前で吸血鬼がしゅるしゅると音を立てて霧散していくのを見て目を瞬かせた。
(杭を刺して、首を落とさないとだめなんじゃなかったっけ……?)