幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
「リーゼ様とお呼びなさい! お嬢様は、この地の領主なのですよ!」

 胸に手を当て、恭しく一礼すれば、アルダリオンがじろりとにらみつける。

「いいよ、アルダリオン。そんなの。リーゼ領主っぽくないのは本当だし。でも、どうしてリーゼに感謝するの?」
「瘴気に犯された吸血鬼を、強引に葬ると魂まで失われるんだよ。そうなると、二度と生まれ変われなくなる。僕の言う”送る”というのは、女神の加護を得た聖俗性を帯びた武器で命を奪うことを言うんだよ。そうすると、魂までは失わないんですみ、生まれ変わることができるんだ。君達のおかげで、無事に仲間を次の世界に送ることができたよ」
「ふぅん。じゃあ、リリンダのおかげってことだね」

 リリンダの方に、リーゼは笑みを向ける。

「違う、リーゼが、杭を作ってくれた、から」
「――しかし、今の話だと、聖属性を帯びた武器じゃないと瘴気に冒されて酔った吸血鬼を送ることはできないんだろ? いくらリーゼ嬢ちゃんの力で硬化したとはいえ、大根でそんなことができるものなのか?」

< 196 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop