幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
「魔族なら、瘴気を発生させることができるんだ。魔族は瘴気で他の種族を変化させるしか、ないらしい」
「……そうなんだ」
「――まあ、吾輩の考え違いならいいんだけどな。もし、魔族が関わっていたなら、とっくの昔にデリモは大変なことになっていたかもしれん」
「うん、そうだね。そうだ、戻ったら、街の見回りに行かない? 収穫祭の準備も始まっているところだし」
「そうだな、アルダリオンも今日は一日好きにしていいと言っていたしな。そうするか!」

 魔族の存在は気になるが、今リーゼがじたばたしたところで何ができるとも思えない。それより、今はデリモの様子を見る方が先だ。

「サージ、早く帰ろう。シドとお出かけしたい」
「それなら、思いきりスピードを出すぞ。しっかり掴まってろ」
「うん!」

 サージが馬に合図を出し、勢いよく走り始める。リーゼは、しっかりと掴まったまま、きゃあきゃあと笑い声をあげた。

「サージ、速い! めちゃくちゃ速い! 最高!」
「そうだろ!」

 朝、アルダリオンが結ってくれた髪が、風でばさばさになってしまったかもしれないのだけはちょっと心配だ。
< 205 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop