幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
それは、リーゼが決めたことだった。どうしても仕事の都合で間に合わない時はしかたがないけれど、皆の顔をできるだけ見ておきたいのだ。

「――いただきます!」

 皆で揃って手を合わせていただきますの挨拶。夕食前、皆が顔を合わせるこの時間は、リーゼにとっても皆にとっても大切なものだった。

「リーゼお嬢様、収穫祭の準備にまで顔を出す必要はないんですよ?」
「でも、顔を出していたら困っていることも聞けるじゃない? リーゼのスキルが役に立つならどんどん使ってもらった方がいいし――デリモの人達もね、家族だと思うんだ」

 リーゼの言葉に、苦言を呈したアルダリオンは固まってしまった。

(私、そんなおかしなこと言ってるかな……?)

 リーゼからしたら当たり前のことだったのだけれど、アルダリオンを困らせてしまっただろうか。

「あ、無茶はしてないよ! してないから、大丈夫!」

 きっと、アルダリオンはリーゼの無茶を心配しているのだろう。そう思って、慌てて付け足す。

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