幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
「いいんじゃないか? 主が顔を見せることで、街の連中も安心してるみたいだからな。ほら、この屋敷は、いろいろな種族が一度に集まっているだろう」

 シドもちゃんと食事に同席している。リーゼの隣に置かれているシド専用のテーブルは、ムラトが作ったものだ。シドは、基本肉食なのだが皆と一緒に食事をする時には、野菜と果物もそこに追加される。

「それを言われると弱いですね。私も人間ではありませんからねぇ……」

 ドワーフやエルフ、それに人間が一つ屋根の下で暮らしているというのは、デリモの人達から見ると奇異に映るらしい。
 近頃では、吸血鬼まで加わったから、余計にそう思うのだろう。オルシウスだけではなく、行き場のない吸血鬼も五人、同居することになった。
 吸血鬼は美貌の者が多いという話は聞いていたけれど、オルシウスの仲間達もものすごい美形ぞろいだった。
 彼らは、屋敷の夜間の警護を担当している。おかげで、元傭兵達が夜、見張りに立つ必要がなくなってだいぶ楽になったと聞いた。

(家族が増えるって……いいな。フランは、こういう空気を味わったことはないだろうけれど)

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