幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
「……まったく、オルシウスには困ったものですね。食事の後片付けもしないなんて」
「ごめんなさい、アルダリオンさん。私達で、オルシウス様の分は片付けるので」
「お願いしますね」

 アルダリオンに謝ったのは、オルシウスの仲間だという吸血鬼の一人だ。アルダリオンがそれでよしとしているのは、吸血鬼達の事情に必要以上に口を挟まないようにしているからだろう。

 デート、と言っていた割に、リーゼが寝る時間になってもオルシウスは迎えに来なかった。

(やっぱり、アルダリオンをからかってただけなのかな……)

 アルダリオンはリーゼに対して過保護だと思うが、それを茶化すような行動をするオルシウスもあまりよくない気がする。
 リーゼがベッドにもぐりこむと、リリンダがやってきて室内の様子を確認する。そして、部屋の明かりを暗くしてからそっと出て行った。
 オルシウスが入って来たのは、リリンダが出て行ってすぐのことだった。そっと、リーゼの肩を揺する。

「リーゼちゃん、起きて」
「起きてるけど、眠いよ」

 身体は五歳児なので、睡魔には勝てない。あくびをもらして、寝返りを打とうとする。

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