幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
「ごめん、今のうちに話しておかないといけないと思ってさぁ。君、厳重に守られているんだもん。こうでもしないと、二人きりの時間なんて取れそうにないし、ね」

 人差し指を口に当て、彼は片目を閉じた。
 彼の瞬き一つで、年頃のお嬢さんなら失神してしまうかもしれない。そのくらいに色気のようなものが駄々もれだ。

「それで、話って?」
「ああもう、君はこんな状況でも驚かないんだから困ったものだね!」

 言葉とは裏腹に、リーゼをにこにことしながら抱えあげ、オルシウスは窓に向かった。

「もし、僕が君を誘拐しようとしていたら、どうするのかな――?」
「別にどうもしないけど。だって、オルシウスにそんなつもりはないのわかってるし。悪意を持ってリーゼのとこに来たのなら、とっくにシドが反応してるでしょ」

 そのシドは、今部屋の中で丸くなって眠っている。悪意を感じ取ったなら、オルシウスにリーゼを抱かせるようなことはしなかっただろう。

「まったく君って、面白いね。たぶん、君の中には、ちっちゃな大人が入ってるんだろうな」

 オルシウスは、横抱きにしたリーゼの額に愛おし気にキスを落とす。
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