幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 長い袖の先からほっそりとした指を伸ばし、彼女はリーゼの額にその指をあてる。

「私はアビゲイル。わかっているのでしょう、この時代の聖女」
「そんなの、関係ないかな。リーゼは、聖女になんかならなくてもいい」

 女神の指が触れた額が、じわっと熱くなってくる。それは嫌な感覚ではなくて、リーゼは黙って受け入れた。
 今、女神がリーゼの力を完全に解放しようとしているのだと――本能的に理解する。

「もともと硬化のスキルは、アビーが聖女のスキルへと昇華させたものでした」

 アビーというのは、最初に聖女と呼ばれた女性の名前だ。
 女神の名を取ってアビゲイル、もしくはアビーという名前は、この国で好まれてつけられものだ。この名を持つ女性は非常に多い。

「彼女の"皆を守りたい"という気持ちが、聖女のスキルへと昇華させた。それは、あなたも同じでした」

 もともとリーゼの持つ力は、普通の硬化スキルでしかなかった。
 リーゼはひたすらパンや紙玉を固めていたけれど、それが人の役に立ったのは、サージの怪我を直そうとした時と雨の中、堤防の決壊を防ごうとした時。そして、吸血鬼に襲われた時だった。
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