幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 たしかに、リーゼの力が大きな変化を見せたのは、誰かを守りたいと願った時なのかもしれない。

「あなたの力は、これからまだまだ育っていきます。どうか、今の気持ちを忘れないで」
「それは忘れないと思うけど、でも――どうしてリーゼだったの?」

 この世界に"リーゼロッテ"として生まれたけれど、"井上佳奈"という前世の記憶もしっかり持って生まれてきた。
 前世の記憶があったからこそ、公爵の過剰な期待につぶされることなく、妹を見捨てることもなかった。
 家から追放された時も、必要以上に落ち込まなかったのは、諦めたらそこで勝負は終わり。まだ完全に敗北したわけではないのだから、這い上がる機会を自分で作ることができると思ったから。

「それは、運命としか言いようがないわ。あなたが、この世界で何を成すのか――前世の記憶があるからこそできたこともたくさんあるでしょう」
「そうかもしれないね」

 運命という言葉は好きではない。
 だが、もし、リーゼが普通の子供だったら、生家を追い出されて泣いていただけだろう。でも、前世の記憶があったからこそ"名前を取り戻す"という目標を持つことができた。
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