幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 いつか名前を取り戻すという意思があったからこそ、スキルの発動を諦めなかったわけで。

「私は、あなた達を見ています。いつでも」

 にっこりと微笑んだ女神の姿がゆらゆらと揺れて消えていく。
 これを単なる夢としてとらえてしまうのは、違うような気がした。
 夢、としか言いようがないのもまた事実ではあったけれど、女神と顔を合わせた夢は、リーゼの中では現実のものとして受け入れられた。
 だからといって、リーゼの生活ががらっと変わるというわけでもないけれど。

(……聖女の力、か)

 翌朝、目覚めたリーゼは自分の手をじっと見つめた。
 あんな夢を見たのは、昨夜オルシウスとあんな話をしたからだろうか。
 いきなり、聖女の力を受け継いだなんて言われても困る。リーゼは、そんなことまったく望んでいないのだから。

 朝から、デリモの街には花火が多数打ち上げられていた。ドーン、ドーンという音がリーゼの部屋まで聞こえてくる。
 今日は、待ちに待った収穫祭の日だ。リーゼが領主になってから、初めての収穫祭ということもあり、皆大いに張り切っている。
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