幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 吸血鬼達は人間と比べるとひ弱に見える。それは、彼らが細身ではかなげな美しさを持っているからだ。
 だが、夜の闇の中では、彼らの能力は最大限に発揮される。
 オルシウスほどの力を持つ者ともなれば、自分の姿を一瞬にして空中に消し去り、次の瞬間には離れた場所に移動することも可能だ。
 味方にすれば、これほど心強い相手もいない。

(主は、そこまでわかってオルシウスに声をかけたわけではないだろうがな)

 また、遠くで明かりが揺れる。ここまでドォォォンッという大きな音が響いてきたのは、何かを破壊したのだろうか。

「オルシウスのやつ、やるなぁ……」

 隣に立ち、顎に手をあてて素直に感嘆の声を漏らしたのは、サージだった。万が一夜襲を受けた時に備え、交代で見張りに立っていた。
 先に仮眠を取っていた彼が戻って来たということは、そろそろシドの出番が来るということか。

「主の見る目に間違いはなかったということだろう。お前もそう思うだろ?」
「リーゼ嬢ちゃんはそこまで考えてないんじゃないか? あいつ――いや、我らが領主は、自分が困っているとみた相手をほっとけない、そういう人だ」
「そう、だな」

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