幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 呼応するように町を囲む防壁の側に集まってきたのは、シドが配下とした野犬達だった。
 町の外で暮らしている彼らは、最初のうちはリーゼに頼んで餌を与えてもらっていた。今は、自分達で獲物を狩るようになった。
 狩りが不猟に終わった時だけ、子犬と妊娠中の雌犬の分だけ、シドが狩ってきた肉を与えている。自立はしてもらわなければならないが、面倒を見るのは彼らを配下としたシドの責任だからだ。
今回の戦、巻き込まれないよう昼間の間はちょっと離れたところに身を隠していた。夜明けを待って、集まってきたところだ。

「シド、気をつけて行って来いよ。お前達が怪我をすると、リーゼが心配する」
「ふん。吾輩が人間にやられるなんてありえないな!」

 闇の中で目を金色に光らせると、サージは肩をすくめた。
 サージがリーゼを大切に思う理由はいろいろあるらしいが、詳細について聞くつもりはない。それは、サージの問題だからだ。
 ひとつ大きく息を吸い込み、シドは防壁から空中に身を躍らせる。
 着地した時には、すでに犬達はきちんと座って待っていた。

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