幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 公爵家で暮らしていた頃は、リーゼの服はすべて母が用意していた。王宮に呼ばれたのは一度だけだったけれど、その時にはたしかに素晴らしいドレスを着せられていた。
 しばらく辺境で暮らしている間に、リーゼの常識はすっかり変わってしまったようだ。
 リーゼには客室が、残りの面々はそれぞれ従者の部屋が与えられる。
 犬を連れて入るのにあまりいい顔はされなかったけれど、シドはリーゼと同じ部屋で寝ることが認められ、就寝用のバスケットもきちんと届けられた。犬ではなくフェンリルだとシドは憤慨していたが、子犬の姿のままなので間違えられてもしかたないところだ。

「こういうところは落ち着かねぇな。」

 リーゼの部屋に集合したが、サージは落ち着かない様子だ。
 もともと傭兵だったというから、こういった上質の家具で調えられた部屋で休むということはなかったのだろう。

「いい木材を使っているな。細工も精緻で腕のいい職人が彫ったものだろう」
「ムラトは、こういう家具がお好きなんですか? たしかに、このテーブルは素晴らしいですね。どの職人が作ったものでしょう?」

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