幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 大広間には、多数の人が集まっていた。天井は高く、教会のような厳かな雰囲気が感じられるのは、窓が一部ステンドグラスになっているからだろう。色ガラスを通した鮮やかな光の中、前方に王と王妃が並んで腰を下ろしていた。

「――デリモの領主、リーゼでございます、陛下」

 リーゼは、王の前で頭を下げた。それから、領地で一緒に暮らしている皆を引き合わせる。

「ほぅ……エルフのアルダリオン、ドワーフのムラト……それに、吸血鬼のオルシウス、か。そちらの二人はベイティス傭兵団の者だ、と」

 シドがここにいないのは、動物を連れて王の前に出ることはできないからだった。フェンリルだと知られると何かと面倒だとシドも言うので、これでいいと思っている。

「……リーゼと言ったな。ヴハ王国の侵攻を阻止してくれたことに感謝する。願いはあるか?」

 そう問いかけた王は、リーゼの顔を見て何か気が付いたようだった。座っていた玉座から身を乗り出し、まじまじとリーゼの顔を見る。
 そして、首を曲げて母の方に目をやった。母の顔をじっと見てから、再びリーゼに視線を戻す。

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