幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 サージの命令が終わるのと同時に、馬車がゆっくりと動き始める。

「リーゼ!!」
「フラン!」

 母のスカートに掴まるようにしていたフランチェスカが、リーゼの名を呼ぶ。リーゼは馬車の窓を開けて、精一杯フランチェスカの名を呼んだ。

「リーゼ!」
「フラン!」

 愛している、愛してる。どうか、父の怒りが妹に向けられませんように。
 屋敷が見えなくなるまで、リーゼは窓に張り付くようにして外を見ていた。

(つい最近まで幸せだった、それは否定できない……)

 鼻の奥が、つんと痛くなる。
 リーゼロッテ・フリードベルクとして生まれ、つい最近まで大切に育てられていた。その事実までは誰も否定することはできない。
 リーゼが、母を、妹を愛しているということも。

 屋敷が見えなくなってから、リーゼはようやく正面に向き直った。リリンダが、こちらをじぃっと見ている。

「デリモまで、ひと月くらい。私達があなたの護衛をする。そして、私はあなたの世話係」
「わかった」

 リリンダにとって、この仕事はとても不本意なものらしい。リーゼに話しかける時はぶっきらぼうだし、言葉も極力少なくしているようだ。
 リリンダに面倒をかけたくないし、旅を楽しむ気分にはなれない。
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