幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 リーゼは、自分の左右に兎のぬいぐるみを座らせそれぞれに腕を巻きつけた。

(このぬいぐるみがなくて、フラン、大丈夫なのかな……)

 フランチェスカは、不安になると兎の耳を口に含んでしゃぶっていたから、どちらがフランチェスカのものなのかすぐにわかる。
 屋敷の使用人の中で、二人の区別がつかない者は、「耳が汚れたぬいぐるみを持っている方がフランチェスカお嬢様」などと失礼な見分け方をしている者もいたらしい。

(会いたいな、フランに)

 まだ別れて三十分もたっていないのに、もうこんなにもフランチェスカに会いたい。
 二体のぬいぐるみをまとめて強く抱きしめ、再び会える日が来ますようにと祈りを捧げた。
 窓に張り付くようにして外を見てみれば、サージは馬車の斜め後ろにいる。リーゼと視線が合ったのに気付くと、彼は片手を上げて挨拶してきた。

(……うん、きっと大丈夫)

 正面に向き直り、ぬいぐるみを改めて引き寄せる。
 そうしている間も、リリンダはリーゼにうるさく話しかけるようなことはしなかった。最初は嫌われたのかと思っていたが、そもそも口数が多い方ではないらしい。
少し気を落ち着けてから、リーゼは紙を取り出した。
 紙を小さくちぎり、丸めてから魔力を流し込む。

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