幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 皆、旅慣れている様子で、互いに言葉を交わしている気配はない。自分が何をすべきか、きちんとわかって動いているようだ。

「リーゼはおとなしいんだね」
「リーゼ、いい子だから」

 リーゼが二体まとめて抱えているぬいぐるみに、リリンダはちらりと目をやる。それから、彼女はリーゼをひょいと持ち上げ、岩の上に座らせた。

「私は手伝いに行く。ここから動いちゃ、ダメ」
「わかった」

 リリンダは小走りにサージの方に走っていく。そして、何事かサージに話しかけた。
 ここからは二人がどんな言葉をかわしているのかはわからないけれど、リリンダの頬がわずかに赤くなっている。

(……そういうこと、かぁ)

 どうやら、リリンダはサージに好意を寄せているらしい。
 とはいえ、リリンダは十代半ば。サージの方は若く見ても二十代後半だろう。おそらく、三十は過ぎている。
 そう考えると、十五、六歳の年の差はあるはずだから、リリンダの恋が実るのはとても難しいのではないだろうか。

(恋、ねぇ……)

 岩の上で、膝を抱え、リーゼはぬいぐるみに顔を埋める。今の自分の表情は、誰にも見られたくなかった。

(私は、別に――恋がしたいとかそんなんじゃないし)

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