幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
(傭兵団なんて、お話の中の存在だと思ってた)

 リーゼにとって、傭兵というのは遠い世界の存在だった。今まで身近に関わる必要もなかったから。

「リリンダは強い?」
「強い。団長はもっと強い。ほら、さっさと寝る」

 リリンダの手が瞼の上に乗せられた。彼女の手もまた、母のものとは違ってごつごつしていた。もう片方の手が身体に回され、ぴったりとリリンダが寄り添う。

(……リリンダに嫌われてるわけじゃないみたい)

 口調はぶっきらぼうだし、あまり表情豊かな方ではないけれど、リリンダの心が温かいのはちゃんと伝わってくる。
 だから不安なんてまったく感じず、促されるままに目を閉じた。
 二つ折りにした毛布を敷いた分、皆より寝心地はいいはずが、地面の上で寝たことなんてないから居心地が悪かった。
 寝返りをうつたびに、地面のわずかなでこぼこまでも感じ取り、その度に目を覚ましてしまう。

(……少しでも、寝ておかないと……)

 リーゼは馬車に乗っているから、最悪移動中に寝てしまうというのもありなのだろうが、寝不足で馬車に乗ったら酔ってしまうかもしれない。
 ただでさえ、リーゼのためにゆったりとした旅程を組んでいるのだ。寝不足なんて理由で遅らせるわけにはいかない。
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